てのひら

てのひら


   てのひらに
   描かれている地図がある
   普段は見えないけれど
   静寂に囚われた湿った夜更けに
   遠い雨の音を聞いたりするとき
   入り乱れた線と
   濁った色の地図が浮かび上がって
   ひらひらと
   寂しい燐光を放つ

   てのひらは一枚の葉書になる
   だれにも届けられなかった
   沈黙の葉書になる
   古い上着を着たままの
   てのひらは
   新しい空と林に塗りつぶされて
   だれにも見えないように
   握り拳をつくり
   ポケットにほうりこむ
   細かく畳まれた地図と
   葉書とともに


手話では「地図」を表すとき左手のひらに右手ひと指を当て、波の線を描いて前に差し出す。
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[ 2017/09/28 00:18 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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