躑躅



     ガンコウラン 




   雲の行方を見定めないまま
   猫に連れられ 街を出た
   道は何処までも続き
   ちかごろ めっきり
   あやふやになってゆく地図は
   幾重にも折りたたまれて
   消えている

   遠くで 潮騒の音が響く
   それとも 
   高い峰を渡る風の音だろうか
   先をゆく猫の尻尾がぴんと立ち
   プルプル振るわせ
   それらの
   かすかな振動を捉えようとしているのだ
  

   僕のランゲルハンス島に座って
   猫は
   海馬を舐めている
   すっかり軽くなった欲望の炎と
   ますます重くなる死者たちの影
   それでも 
   悲しみだけが夢をみる

   夜は始まったばかりだけれど
   いつの間にか現れた雲が
   僕を取り巻く海と
   言葉をかわし
   光は別々の方向へ去り
   肩の上の猫は
   ガンコウランの実を食べている


000919yc.jpg




ガンコウランは我がふるさと北海道根室半島の野原にあった。


   どの色も

   燃ゆるごとくに

   躑躅かな


麗しの君が送ってきた句を読んで、
躑躅科の植物であるがんこうらんを思い出した。
もう、60年も前のことである。
スポンサーサイト
[ 2013/05/16 17:15 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://isoisomao.blog3.fc2.com/tb.php/781-b9977c19