文月悠光

心に響くというのか、心臓をわしづかみにされる、
というのか、空想の世界に住んでいた美少女を、
実際に目の前にしたときの驚愕とか、
そういった感動(小泉純一郎が言うと安っぽくなる)
を与える詩にであうと、ぼくは落ち着かなくなり、
檻の中のクマになってしまう。

そして、ひとつひとつの言葉を拾い上げて、
まじまじと何時間でも眺め、
そして、口の中に放り込み作りたての義歯ではない、
自前の歯でそっと噛みしめるのだ。
だから、そういった僕のお気に入りの詩(めったにない)
は読み進むことができない。
一編をほんとうに読み終えるのに何日もかかることがある。

そんな詩に先日出会ってしまった。
文月悠光ふづきゆみ、と読むらしい
<適切な世界の適切ならざる私>
第15回 中原中也賞 受賞 
16歳で現代詩手帳賞受賞
高校3年とある。

僕はこのブログからあちらこちらをさまよい歩いているうちに、
この人の詩に出会った。
読み始めた瞬間から髪の毛が逆立つような感じだった。
だから、その時は中原中也賞を史上最年少で受賞ということも、
知らなかったのである。
興奮のあまり、覗いたブログの確認もせず、
閉じてしまった狼狽ぶりを察して欲しいものだ。

かろうじて、頭の隅にあった文月という名前を便りに、
ネットで検索したら分かりましたよ。
文月悠光さんが。
アマゾンにアクセスして本を注文したのは言うまでもありません。
先週末届きました。
恋人のことも、ネコのこともまるで目に入らない山猫軒。

<落花水>

透明なストローを通して美術室に響く
”スー、スー”という私の呼吸音。
語りかけても返事がないのなら
こうして息で呼びかけてみよう。
画用紙の上の赤い色水は、かすかに身を震わせ、
あらぬ方向へ走りはじめる。
やがて、私の息の緒に触れてしまったように
つ、と立ち止まるのだ。
小指の爪にも満たない水彩絵の具は

水に溶け込み、赤い濃淡で
夕暮れをパレットに描き出している。
その一片を筆でさらい、画用紙に落としては、
まっさらな肌が色を受けつけるまで
しばし頬をゆるめた。
ストローを動かしながら
気ままな水脈に再び息を吹き込んでみる。
私の青いシャツに、赤い色水が跳ねて
まるくなった。


で始まる。

ノックアウトパンチをもらった僕は、
しあわせな陶酔感の中にいる。

そして、詩を書くことの嬉しさ、
詩を読むことの幸福を味わっている。
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[ 2010/05/10 17:38 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

No title

新しい、恋の予感?......ですか?
マオが嫉妬しちゃうかも.....
[ 2010/05/10 22:55 ] [ 編集 ]

Re: No title

shirayukiさん。
いやはや、お恥ずかしい。
気が多いのを見抜かれたようで。


[ 2010/05/11 11:54 ] [ 編集 ]

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