続 猫と暦 第12話 サブロー救出



 続 猫と暦 サブロー救出



「いやあ、驚いたの、なんの、刑事とにらみ合って座っていたら突然、猫が目の前に現われたかと思ったらハナビィじゃないの。そしたら、建物全体がボーッと霞んじまってさ、おいらも訳が分らなくなって、また、元に戻ったような気がしたら、電気は消えちゃうし、大騒ぎだ。また、ふわ、ふあ、したら、ここだよ」
「一体全体、何事が起きているのか説明してくれ!」
サブローは禿頭から湯気をたてんばかりの勢いでまくし立てる。
サツキさんがキッチンからお茶を持って現われると、口をあんぐり開けて、
「これは!これは!たまげたね、サツキさんまでが、かい?」
「なにか、問題でも?」
ニヤリと笑いを浮べて僕は言う。これはサブローの口癖なのである。
とは言うものの、サブローが当惑するのも当たり前なのだ。
常識ではとうてい計り知れないことが僕たちをスッポリ包んでいる。
僕はまたまた、事の成り行きをサブローに説明しなければならなかった。
「そうか、それで、おいらは警察のご厄介になったのだな。まったく、もう」
「それなら、そうと最初から話してくれたら良いのに」
恨みがましく言うサブローに、
「この事を知っていたらあんたは嘘つきになってしまったろうよ。すくなくとも、今ここまでは何も知らなかった」
「たしかに」
サブローはサツキさんの出したお茶を美味そうに啜る。
「しかし、なんでまた、おいらのサツキまでここにいる?」
「アンタと同じ目にあうところだった。最高のお持てなしだったろう?警察は。
サツキさんがああいう目にあったら、どうだ?」
「たしかに、大変ご丁寧な扱いをされたな。サツキさんには耐えられんだろう」
「そう言うこと。サブローだったら堪えられるだろうと思って、ここにつれくるつもりは無かったが、サツキさんとハナビィたちが助け出せと、言うもんだから」と言うと、
「なんだい、それじゃタケさんはおいらを見殺しにする気だったのかい?」
サブローは恨めしげに言う。
「まあ、まあ、そんなことはないわよ。タケさんだって心配してたのよ」
サツキさんがサブローを慰めるのであった。
「それにしても、おいらが捕まっていた警視庁はどうした?」
「警視庁と、警察庁は事故のあった原発の敷地内に移転した」
「ほんとうかよ?ウソでしょ?」
「本当よ」ハナビィが言った。
思わず手に持った湯飲み茶碗を取り落としそうになって、サブローは僕のそばに座るハナビィをポカンと口を開け、穴の空くほど見つめた。
「口がきける?のか。いったいどうなってるんだ、まったく!」
「なにか、問題でも?」また僕は言う。
「いやはや、おいらの頭がオカシイのか、あんたらがオカシイのか分らん」
「すぐに、慣れるわよ」アースを抱いていたサツキさんが言う。
「ボク、アース、よろしく」
頭を抱えるサブローなのであった。

「第2弾は霞ヶ関ね」
窓際にポックルと何やら話していたマチスが言った。
あれはハナビィの母親だとサブローに言って僕はマチスに答えた。
「そう、中央官庁、それぞれが原発事故と多かれ少なかれ関係しているからひとまとめでいこう。敷地は十分にある」
「そんなことをしたら、この国は機能麻痺になるな」
サブローがぽつりと呟いた。
「首都に大地震が起きたと思えばいい」僕は言う。
首都の地図をテーブルに広げ、既に移転した警視庁と警察庁を赤ペンで囲み斜線を引いた。周辺の建物に改めて赤い線を引く。
「動かした後の状況はどうだろう?」ポックルに聞く。
「想像した以上の騒ぎですね。政府もパニックです」
「国会と首相官邸は最後にしよう。相当に警戒が厳重なのだろうね?」
そりゃもう、蟻のはいる隙間も無いほどの警戒ですが、肝腎の警視庁が地方へ行っちゃいましたからね。」
「今度も建物の中に入りましょう。またポックルさんとハナビィで」
とマチスが言った。




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[ 2012/01/20 21:58 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

トパーズ

5話、一気に読みました。
ハラハラ、ドキドキのシーンもあり
これから、国会と首相官邸が移動する
山場を迎えますね。
さて、どうなるか???
[ 2012/01/22 07:40 ] [ 編集 ]

Re: トパーズ

トパーズさん。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
さらにスリリングなシーンが用意されていますよ。
お楽しみに。

[ 2012/01/22 16:06 ] [ 編集 ]

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