続 猫と暦 第11話 マチスは司令官

昨日悲しい知らせがありました。
「猫事記」の金子都実絵さんの六匹の猫のうちの、
マチス、まっちゃんが永眠したのです。
歳をとっていて体調不良の様子が伝えられていて、
心配していましたが、急なことで言葉もありません。

御承知のように今連載中の「猫と暦」の主人公ハナビィの
母親の名は「マチス」です。
金子さんのマチス・まっちゃんがモデルです。
これは飼い主さんの承諾を(事後でしたが)得てのことです。
僕の物語の続編ではマチスは大活躍をします。
その下りにさしかかっていたところに、この悲しい知らせでした。
いちども会ったことのないマチスでしたが、
ハナビィと共に僕の物語の中で生き続けるでしょう。
マチス・まっちゃんのご冥福をお祈りいたします。

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「猫事記」金子都実絵さんhttp://ch10653.kitaguni.tv/d2012-01-18.html
より。




   続 猫と暦 マチスは司令官


食事を終わった頃、ポックルがまた窓際に現われた。
サツキさんも今度は驚かない。
「お寛ぎのところを失礼します」
「どうだね。何か進展でもあったか?」
「予想通りサブローさんが事情聴取を」
「それで?」
「任意同行を求められて、暴言を吐いたんですね」
「あれは警官嫌いだからな」
「もみ合いになって公務執行妨害だそうです」
「あいつらしいな」
「今のところ、黙秘ですよ」
「何も知らないのだからしゃべりようがなかろう」
ポックルとのやり取りをそばで聞いていたサツキさんはサブローを知っているだけに表情を曇らせ言う。
「サブローさん、どうなるの?」
「もう少しガマンして貰おう」
「冷たいのね」とサツキさんはなじるように僕に言う。
「大丈夫だよ。あれは結構しぶといから、簡単に参らない」
「そう言う問題じゃないわよ」とさらにサツキさんは舌鋒鋭く迫る。
それはこれから考えようと、なだめてポックルに聞く。
「政府の様子はどうだ?」
「これがね。原発撤退声明をした電力会社を恫喝して撤回させようとしています。それをやっているのが総理の後ろに居る、あなたの知り合いですよ」
あいつか。あの男ならそのくらいのことはやるだろうと僕は心の中で思った。
「なるほど」
僕は答えてしばらく考え込んだ。予想していたこととはいえ実際にサブローが捉えられたと聞くといささか、気が重い。
捜査当局はこの事件は単独で行われたとは思っていないだろう。数名のもの達による犯行と踏んでいるのだ。まさか、その主犯が猫で共犯者が人間とは思いも寄らぬ事なのだ。今は、主犯格が猫の親子だなんて、想像の外に違いない。
考え込んでいる僕にポックルが言う。
「それで、これからどうします?」
マチスの計画を実行に移す時は迫ってきているようだった。
しかし、それはあまりに壮大な話で、前回の原子力資料館を動かした時のようにはいかないのだ。
向こう側は国家権力、こちらは2匹の猫と一匹の犬、それに人間が二人。
その人間も相当にくたびれていて、50メートルも走れないだろう。
灯籠に斧と言っても良い感じなのである。
「お養父さん計画通りやりましょう」
マチスが突然言ったので考え事をしていた僕は一瞬ドキンとした。
「今アタシ達にとって一番障害になっているのは何かしら?」
とマチスが言う。
「それは、警察だね」
「では、警察から始めましょ」マチスはあっさりと言ってのける。
僕が喋ろうとする前に、さらにマチスが続けた。
「ポックルさんはサブローさんの居るところを知っているんですよね?」
「知っていますよ。桜田門の警視庁です」
マチスはハナビィに向かって、
「ハナビィ、あんたはポックルさんとサブローさんを助け出しに行きなさい」
「警視庁と、警察庁を一度に移動させて、それからここに戻ってくるのよ」
「お養父さん、いいですね。これが第一弾よ」
もう、すっかりこの作戦の司令官はマチスになっていた。
僕もサツキさんも毒気をぬかれたようになって、マチスの指図に只頷いていた。
ハナビィの不思議な振る舞いは母親譲りのものだったのだ。
事ここに至っては猫たちをはじめとした生き物と人間の戦いのようなのである。
池の大会議で出された結論が今また実行されようとしていた。
窓際のポックルがハナビィに近寄って、
「さ、行きましょう」
と言ったときかれらの姿は窓から差し込む陽光の中には無かった。
その光りの中にマチスが優雅な身振りで歩いて行き、出窓に飛び乗る。
窓の外に向かって座る、マチスの紡錘型のシルエットが浮かんでいた。







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[ 2012/01/19 10:45 ] 未分類 | TB(0) | CM(6)

ハラハラ

実行するのね!

マチスは、度胸があるのね。

どうなるのか?ハラハラもの・・・



[ 2012/01/19 20:16 ] [ 編集 ]

ありがとう

山猫軒さん、ありがとうございます。
物語のマチスは元気だった若い頃のまっちゃんのようです。
楽しみにしていますね。
[ 2012/01/20 15:40 ] [ 編集 ]

トパーズ

マチスのモデルだったまっちゃんの
ご冥福をお祈り致します。
まっちゃんも、「猫と暦」で
大活躍することを知り、天国から盛大な
拍手を送ってくれていることと思います。
[ 2012/01/22 07:33 ] [ 編集 ]

Re: ハラハラ

かをるさん。
女は愛嬌と言われたのは昔のこと、
猫も人も今は「女は度胸」です。

[ 2012/01/22 16:00 ] [ 編集 ]

Re: ありがとう

TSUさん。
悲しいことでしたね。
でも、全て始まりがあれば終わりが用意されているのです。
まっちゃんはTUSさんたちと過ごせて幸せだったと思います。
これから、マチスとハナビィの活躍が始まります。
空想の世界では動物も人もいつまでも生き続けます。


[ 2012/01/22 16:03 ] [ 編集 ]

Re: トパーズ

トパーズさん。
そうであって欲しいと思いながら、
続きを書いています。


[ 2012/01/22 16:05 ] [ 編集 ]

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