猫と暦 その二十 エピローグ




    猫と暦 その二十 エピローグ





池の会議場にはあんなにもいた生き物たちの姿はなかった。樹上の木の葉の中から顔を覗かせる大きな白いフクロウやカタツムリを頭に載せた蛙も、石の上の年老いた亀も池を埋めていた蛙たちも黒い痩せた牛と豚たちも、草むらをかき分けてやってくる兎たちの茶色い耳も、空を飛ぶ鴎の群れも何もかもが綺麗さっぱり姿を消してしまった。
明るい日差しと、そよ吹く風は変わらないけれど、心和ませる命の息吹が絶えた大地は遥か遠い日に再び帰ってくるもの達のためにしんとしている。
見知らぬ北国の忘れられたような山間の森と湖沼の畔に突然たくさんの生き物が現われたことを誰も知らない。イタチの夫婦は生まれてくる赤ん坊を育てる巣穴を造り、大きな白いフクロウは先住者たちへの挨拶まわりに忙しい。

秋晴れの首都の上空に黒い穴が広がり、そして、消えた後、公園の大きな池は蛙たちで埋め尽くされた。
その中心にはカタツムリを頭に載せた蛙の姿が見える。一際立派で貫禄十分なのである。そして、一緒に現われた黒い牛や痩せた豚、鶏や犬やネコたちはすぐに動物愛護団体の手によって、無事収容され手当を受けていた。
その中には猫のマチスと黒いダックスフントのアースの姿はなかった。
首都から逃げ出した人々も我が家に戻り、町は平静にを取り戻しつつあるかに見えたが、何かが変わっていた。
あの一日の間に起きた出来事は多くの人間に生きる物への思いやりと、他人の悲しみや痛みを我がものと感じとることがいかに大切なのかを考えさせはしたが、この国と人々とそして生きとし生けるものが本当に安心して暮らすことが出来る日はまだまだ遠い日のことのように思えるのっだった。
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[ 2011/12/08 18:29 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)

山猫軒ワールドをたっぷりエンジョイ
しました。素晴らしかったですよ。

出版されたら、教えて下さいね。
是非購入したいので。
[ 2011/12/09 07:57 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

トパーズさん。
ありがとうございます。
まだ、物語の余韻が残っているようで、
落ち着きません。
本に出来ればいいのですが、そうは上手く事が運ぶとは、
思えませんが。

大人の童話をまた書きたいと思っています。
お楽しみに・・・




[ 2011/12/09 11:18 ] [ 編集 ]

マチスとアースは?

猫のマチスと黒いダックスフントのアースはどこに行ったのですか?
飼い主の所にもどったのでしょうか?
もし、そうならうれしいし、そういう生き物たちもきっとたくさんいますよね?
[ 2011/12/10 18:30 ] [ 編集 ]

Re: マチスとアースは?

TSU様

マチスとアースはハナビィの里親の力を借りて、
飼い主捜しの旅に出ます。
そのお話しを書き始めました。

[ 2011/12/15 12:28 ] [ 編集 ]

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