ネコと暦 その四 ハナビィは話す

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ネコも歳を取ると好みが変わるらしい。
我が家の性格の悪い(とても)マオがアジの開きを食したのである。
この家に住みついて以来食べる物はドライフーズのみであった。
イカも蟹もエビは言うに及ばずアジの開きさえも見向きもしなかった。
したがって、食卓の上にオカズのアジの開きを放置しても、
実に安全極まりない平和な食卓なのであった。
しかるに、今日この性格の悪いネコがアジの干物を、何を血迷ったか、
クンクン臭いを嗅いでご主人様が戯れに与えたアジを食べたのである。
これは吉と考えればいいのか、はたまた凶と捉えねばならないのか、
非常にに難しい判断を迫られることなのである。
TPPや大阪都構想を問われるよりも難題だと言わざるを得ない。

寝たネコを起こしてしまったようである。
ちなみに歳は69歳!間違えました。これは山猫軒の歳でありました。
マオは多分7歳だと思う。
どこで生まれたのか、いつ生まれたのかは不明である。
由緒正しい野良のようなのです。皆さん。



   ネコと暦   その四 ハナビィは話す



雨蛙は大きな目をぎょろりと白く反転させ、また黒目に戻してエヘンと咳払いをしたあと、とても勿体を付けた様子で答えた。
「それは、あなた様のハナビィさんからお聞きになるのが一番かと。」
「ハナビィに聞けとおっしゃるが、ハナビィは猫ですよ。どうして人間と猫とが話が出来ましょう。これはあり得ない。」
「ハナビィ、お前は僕の言うことが分かるの?」
後ろ足で耳の裏を掻いているハナビィに尋ねる。
「イエスなら目を一度ぱちりと閉じてごらん。」
ハナビィは大きく目を見開き、そして、ぱちりと音を立てるように閉じた。
まるでそれが合図でもあったかのように、池の水面を一陣の風がさ~っと吹き渡ってくる。
さわさわと水面が騒ぎだし細波が立った。よく見ると無数の蛙たちが泳いでくるのである。
蛙たちは思い思いに水草の上やら岩の上に座ったり、水の中に浮かんだりしている。
カタツムリを頭に載せた蛙を中心にして半円状に集まってくるのである。
こんなに沢山の蛙は見たことはない。この地方の蛙が全てこの池に集まったとでも言わんばかりなのであった。
こうして見ているとカタツムリを頭に載せた蛙はこれらの蛙たちの長であるらしいことが感じ取れるのである。

「ここはね、アタシの生まれた町なの。」
とうとう、ハナビィがしゃべったのである。声をだして、しゃべると言うよりは頭の中に侵入してくる信号のようなものであった。
蛙の場合もそうなのである。
生まれたばかりの赤ん坊に母親が語りかけると赤ん坊がニコニコ笑う。
母の気持ちが伝わるようなそんな懐かしい響きなのである。
ハナビィが東北の生まれであったとは知らなかった。どんな事情で我が家に来ることになったのか気にも掛けていなかったのだ。
振り返ってみれば確かにこの猫は猫らしからぬところがあった。
猫にはそれぞれの個性があるのだから、そう言うものなのであろうと
思っていたのであるが。
例えばこんなことがあった。普通、猫は扉を開けるが、閉めないのである。引き戸は勿論のことドアもそうである。開けっ放しなのだ。
ところがハナビィは開けた戸をまた閉めたのである。ドアの取っ手がレバーハンドルのドアは全て、ハンドルに飛び付いて開けた。そしてこれもちゃんと閉める。
押し入れも勿論のことだ。だから暦と暦で隠された穴に気付かなかったのだ。
いつも押し入れの戸は閉まっていたのである。秘密など無いがごとくに。
「あの穴は何時からあったの?」
頭上に浮かんでいる穴を見上げてハナビィに聞くと、
「あの日から。」とゆっくり瞬きしながら答えた。
「あの日って、地震のあった日のこと?」
悲しそうに遠くを見ながらハナビィは言う。
「そうよ、地震と大津波の日から。」
「グラグラ何度も揺れるから怖くって押し入れに入っていたの。
 そうしたら、いつの間にか床に穴が空いていてうっかり落ちちゃった。」
「大地震のその日に?」
「ううん、違う。何日か後だったと思う。原発事故で騒いでいた頃だわ。」
「穴に落ちたらここに来てしまったということかい?」
蛙たちで埋め尽くされた池を見やりながらハナビィと話をするのであった。

「ところで、あなた様は人間の代表と言うことで今日の会議においで頂きましたのですが、それでようござんすか?」
カタツムリを頭に載せた蛙がこう切り出した。ハナビィとの話は後回しにして取りあえず蛙と話をしなければならないのである。
「人間の代表と言われても、僕はそのような大層な人間ではありませんから、どなたか他に代表にふさわしい人がいるでしょう。」
と言うと、蛙は急に難しい顔(緑色の顔が僅かに赤くなった)になって、
「だめです。ここには人間はいないし、居ても信用がおけない。」
と言うと、池の数知れぬ蛙たちも一斉に騒ぎ出すのであった。





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[ 2011/11/14 20:15 ] 未分類 | TB(0) | CM(11)

ハナビィ♥!!

ああ、ハナビィ!!
私にはハナビィがうちのまっちゃんのように思えます。
近頃まっちゃんは押し入れにいりびたりなので...。
でも、「開けたら閉める」はできません。
こればっかりは、すべての猫飼いの理想ですね。

..............それでそれで????
(あ、せかしているわけではありません。あせらず、ゆっくりお書きくださいね)
[ 2011/11/14 23:00 ] [ 編集 ]

Re: ハナビィ♥!!

TSUさん。
こんばんは。ハナビィは東京に来る前に飼っていたネコです。
ミルクで赤ちゃんの時から僕が育てました。
夏に生まれたから「花火」それがハナビィになりました。
これまでで一番可愛かったネコです。
お風呂が好きで湯船に浸かるのですよ。
とても利口でした。
東京に出てきたときに連れてきたかったのですが、
ネコ駄目の部屋で、大家さんと交渉したのですが、諦めました。
知人が引き受けてくれてまだ元気にしているようです。
まっちゃんぐらいの歳のような気がします。

物語は大筋では出来上がっています。
それでもあらぬ方へと脱線しがちでなかなか難しい。
始めて長い文章を書きました。
これから色々な生き物が登場します。
牛、ブタ、イヌ、兎、イタチ、鶏、タヌキそして不思議な生き物も。
お楽しみに。

[ 2011/11/14 23:58 ] [ 編集 ]

北陸は寒く、ついに我が家はコタツ登場。生まれてはじめて見る「コタツ」にビビッていたくろまるですが、すぐに馴染んで、ぬくぬくしています。仕事が忙しくてブログを見ることも書くことも、ままならず。ちょうど谷間に入って、いいもの見させていただきました。多謝。
[ 2011/11/15 13:58 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

たぬきさん。
お久し節です。忙しそうですね。いいことです。
くろまるくんも元気そうですね。
ブログはボチボチやればよろしいのです。


[ 2011/11/15 15:03 ] [ 編集 ]

Re: Re: タイトルなし

> たぬきさん。
> お久し節です。忙しそうですね。いいことです。
> くろまるくんも元気そうですね。
> ブログはボチボチやればよろしいのです。
[ 2011/11/15 15:03 ] [ 編集 ]

ドライフーズしか食べない猫ちゃん?
いや~驚きましたな・・・と言うより、そりゃ楽ですね
うちのワンちゃん達はドックフードより、
人間の食べる食事に命をかけていましたね
朝昼晩の三食、ゆっくり食べた事がなかったな~

遅くなりましたが、山さんも誕生日を迎えたようですね
これはこれはおめでとうございます♪
ますます僕と歳が開きますね・・・ホホホホ
[ 2011/11/15 18:21 ] [ 編集 ]

green

やっぱりお伽の国への入り口だったのですね♪
目が離せません~
詩の次はおとぎ話の国へ!
素敵な感性ですね。
次楽しみにしています♪
[ 2011/11/15 22:30 ] [ 編集 ]

猫は話がわかっていると思います。
「かわいい」という言葉が出ると
にゃ~と振り向くウチのモコ。

飼い主が好きな甘いものは先に食べるとダッシュしてくるモコ。

この現象はハナビィちゃんが愛されているからに他ならないと思えます~(=^・^=)
[ 2011/11/16 06:06 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ブルさん。

ドライフーズしか食べなかったマオですが、この猛暑の夏から、
柔らかい物を食べるようになりました。
厚さで体調を崩したのか固いものは吐いてしまうのです。
それで、ゼリー状でカップに入っているフーズを食べさせたら、
今度はそれに替わってしまいました。
ネコも歳を取れば変わると言うことですね。


[ 2011/11/16 10:24 ] [ 編集 ]

Re: green

greenさん。
おはようございます。
大人のおとぎ話です。
続きをどうぞ。


[ 2011/11/16 10:26 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

みかんさん。

モコちゃんとお話しできるのですね。
マオもしゃべれませんが、目で答えます。
ゆっくり瞬きします。
多分お互いに30%程度は意思の疎通がはかられていると、
思っています。
人間とは1%ぐらいしか分かり合えないのに不思議。


[ 2011/11/16 10:31 ] [ 編集 ]

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