神様2011  川上弘美

<神様2011>  川上弘美  講談社


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<神様>


くまにさそわれて散歩に出る。河原に行くのである。歩いて二十分ほどのところにある河原である。春先に、鷸を(しぎ)を見るために、行ったことはあったが、暑い季節にこうして弁当まで持って行くのは初めてである。散歩というよりハイキングといったほうがいいかもしれない。


こうした書き出しで始まった「神様」という短編は1993年に最初の短編として書かれた
と後書きで述べられている。
川上弘美1996年「蛇を踏む」で芥川賞受賞。
不肖山猫軒はこの小説を読んでいない。
そればかりか、川上弘美の書籍はどれも読んでいないのである。
生来のひねくれ者が災いして「芥川賞」「直木賞」などとその時期になれば、
マスコミが騒ぐ類のものは手に取らないことにしているのだ。
それらの書籍とその作者がすっかり世間から忘れ去られた頃、
神田の古本屋でしかその本が見かけることができなくなったころに、
おもむろに手にするのである。
それが、どうした風の吹き回しなのか、過日は「下町ロケット」直木賞受賞作、
「猫の散歩道」芥川賞受賞作者のエッセイ、
そして、今日の<神様2011>川上弘美を読むことになった。
そろそろ、お迎えが近いのかも知れない。
それで普段はやらないことをやるようになったのかもしれない。
地球にしても年々暑かったかと思えば秋から一足飛びに冬の気配がしたり、
3.11の大災害があったり、始終グラグラ地震で大地が揺れたり、
大雨が降り続く。
そろそろ、地球のお迎えも近いのか?
人間の時間と地球の時間は同じではないだろうから、
山猫軒があと数年で目出度くあの世に還るとすれば、
地球は数百年、数千年先にはということなのだろう。
その準備に暑くなったり寒くなったり、大地をブルブル震わせたり、
大津波を起こしたりしているのだとも想像できる。


また、そればかりではなく、人間が自然の摂理に反するような原子力というものに、
手を突っ込んだ結果、更に人類の滅亡を早めることになったしても、
何の不思議でもないのである。
3.11の大災害とそれに伴うフクシマ原発事故から受けた心の痛みを
<神様2011>で川上弘美は僕たちに訴えている。


<神様2011>


くまにさそわれて散歩に出る。河原に行くのである。春先に、鷸(しぎ)を見るために、
防護服をつけて行ったことはあったが、暑い季節にこうしてふつうの服を着て肌をだし、
弁当まで持っていくのは、「あのこと」以来、初めてである。散歩というよりハイキングといったほうがいいかもしれない。



<神様>に筆を加えた<神様2011>
とても短い作品である。
散文詩のようにも感じられる。
あっというまに読み終えるが頭の中には豊かな光景があふれるのだ。
くまの神様、人間の神様はいったい何処へ行ってしまったのだろう。
昨夜はそればかりを考えていた。
そうだ、猫の神様も。


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[ 2011/10/05 11:55 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

川上弘美は・・・

現役作家のなかで、唯一好ましいと思っている人です。日常の話かと思うと、ぽーんと異次元の世界へと読者を連れて行ってしまうところがあります。そのあたりが、好みの別れどころでしょうか。
代表作『センセイの鞄』は、私の恋愛バイブル。何十回読んでも、泣いてしまいます。
こんな恋愛がしたいと願いながら10年近く過ぎてしまいましたが。
[ 2011/10/07 02:09 ] [ 編集 ]

Re: 川上弘美は・・・

たぬきさん。
今、「どこから行っても遠い町」を読んでいます。
川上弘美は初めてですが、いいですね。
久しぶりに良い作家に巡り会いました。

まだまだ、良い恋愛の機会はありますよ。
若いのだから。
[ 2011/10/07 18:37 ] [ 編集 ]

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