流れて

       流れて


    あの日 勤め先の事務所の前の
    海岸に海亀が泳ぎついた
    岩礁だけで少しの砂も
    見あたらないところなのに
    黄昏れを見つめる眼が赤かった

    あなたは 僕の背にからだを寄せて
  <あれは わたしのようだ>
    とでもいうように
    小さなてのひらで
    僕の肩をつかみ
    息をこらし
    沖の波影をみつめていた

    屈強なおとこたちが
    決まり事の酒をふるまって
    暗く煙ってゆく海に
    海亀を
    帰してやる

    涙を流す海亀の赤い眼と
    噛みつくように
    僕の肩を掴む
    あなたの小さな手と
    ふいに 大きな塊になって
    こころの扉をあけて入ってくる

    静穏な砂の海岸は
    どこなのだ
    あるはずのあたたかい家は
    どこなのだ
  <さあ、おしえてくれ> と

    もう、海は遠い
    もう、家は朽ち果て
    こたえることばは
    夜の街灯の下からふる雪になる
    さびしい冬の夜に
    あの とおい海岸の匂いが
    満ちてくる


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[ 2011/02/09 19:49 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

ここには いつも 海の匂いがします。
山猫軒のルーツ 根室の海。  
四季折々の 風が吹いていたのかなぁ。
山里で 雪が沈んでゆくのを 眺めながら
ふと 想うのですよ~! 寝るどー。おやすみ♪
[ 2011/02/10 00:46 ] [ 編集 ]

Re: 海

CAOさん。
こんにちは。
根室は流氷の季節です。
ストーブの煙突が赤くなるほど火を燃して、
それでも、寒かったなぁ。

ふるさとは遠くにありて想うもの・・・です。
CAOさんも雪に埋もれないようにお気をつけてください。



[ 2011/02/14 16:46 ] [ 編集 ]

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