ふりむいたって



ふりむいたって


わたしが ふりむいたとき
もはや そこに 
なにも
なかった

ふたたび香しい風のそよぎとともに
還ってきたかと
思っていたのに

故郷も子供の頃も
セピア色の静止画像で
だんだん、色褪せて
忘れていくのだから

あしたの祭りのための料理を作ろう
薄暗い台所に立って
包丁を振り下ろす 
まな板は
苔むした わたしの 
ためらいに満ちた
季節の数々だ

わたしが ふりむいたとき
もはや そこに
だれも いなかった

いいんだ
いいんだ
あの部屋のドアを開けると
干し草のような匂いのする
あなたが いるから
まだ、愛し合う
時間がたくさん
あるから










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[ 2010/04/08 16:17 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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