聖魚オクシリンコス

美術館は、巨大な遺失物収容所である。(寺山修司)

桜を見に上野公園に行った。
恋人と昨年は果たせなかった桜を・・
運の悪いことに今年はまだ花はあるけれど、
あいにくの小雨で肌寒く、
「月曜にしておけば良かった。」
などと、不運を嘆きあうことになる。

ぶらぶら歩いて東京博物館に入った。
2時間ほど歩き回り暗がりから逃れ出る。
一日がかりでゆっくり回るのがいいな。
あちこちにあるソファで居眠りしながら。

唯一、博物館から眺めた中庭の桜が素晴らしかった。
いままだ、残像がここにある。

聖魚オクシリンコス


頭に雄牛の角と
太陽をいただいた
鉄の魚が
泳いでいる

大河の川岸で
釣り糸たれる旅人の
帽子に止まる癒鬱と
神々の倦怠

博物館の暗がりに
うずくまる鉄のカワカマス
おまえは
聖魚オクシリンコス

砂に埋もれた棺の中で
泳ぎ続ける魚
桜の庭園の傍らで
太陽を迎える魚
聖魚オクシリンコス

エジプトの神殿に供えられた
ナイルの心臓
未来を予言する
明日のスフインクスの眼孔

今 静まりかえる博物館の
小さなガラスケースに
どう猛な毒を宿して
ぼくの眼球の中に忍びこむ









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[ 2010/04/07 23:19 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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