蓼食う虫も好き好き

以前、<小姑鬼千匹>を書いたことがある。
今回はその続編といこう。
先週の隅田川花火大会の日、わが恋人は鬼千匹を配下に従えて、
上京した。
土曜日のことであり、山猫軒は競馬に忙しい。
したがって、午後の来訪となった。

夕方花火の時間にはまだ間もあるので、家を出て、
上野広小路方面に向かう。
上野松坂屋南館で新しくできた珈琲ショップでアイステイーと、
甘いものを注文して、
先刻から、しゃべりたくてたまらない様子の恋人の話を聞いた。

彼女には兄がいる。
二人の兄のうち一人は数年前に病で急死した。
残った長男は先妻と離婚して子供達は先妻が引き取った。
シングルであった。
母親と暮らしているのである。
彼は大学を出て某大手の会社の管理職である。
大学時代には「箱根駅伝」四年走ったという大変なスポーツマンで、
郷土の英雄的な存在もあったそうだ。
そして、イケメンである。
イケメン、スポーツマン、大手企業の管理職、シングル、
これだけ条件が揃えば、すこぶるつきの美女たちが、
行列をなすのではないか?
門前市をなすのではないか?

不肖山猫軒、彼の持つ条件を何一つ持ち合わせていない。
かえすがえすも残念至極。

ところが、である。
彼の別れた妻はどうひいき目にみても「美人」とはいえない。
山猫軒の審美眼から申せば「BUSU」である。
これは恋人に見せてもらった写真からだが。
そして、再婚した奥さん(高校時代に付き合っていたらしい)
は写真を見る限りお世辞にも、「美人」とはほど遠い。
もうじき、五十歳になろうかという男女を、
イケメン、美人と評価するのはいかがなものか、
と思うが、奥さんの体型限りなく丸く、ごくごく、
フツーのおばさんだ。

山猫軒の恋人も最近は丸みをおびてきた。
丸いのは好きだから一向に気にはならない。
しかし、兄貴の奥さんは非常に丸い。

彼女も当然結婚していた時代があり(離婚)二人の子供を、
女手ひとつで立派に育て上げたしっかりものである。

そんな兄貴の嫁さんが最近、親と一緒に生活をすることとなった。
そこで、鬼千匹が出てくるのだ。

鬼千匹が語る。

「お祭りの夜ね、親せきのおばさん達がいつものように、
 来てね、兄貴とお嫁さんも一緒だったのよね。」
「もう、見てはいられないよ。ベタベタしてさ。
 アイス食べた手が汚れたからって、お嫁さんに手を拭いてもらったり、
 みんな目のやり場に困っちゃってさ。」

こんな調子で花火が始まるまで、兄とその嫁さんの悪口を聞かされる。
妹にとって、その兄は自慢の兄、なのだ。
高校生の時は県の陸上競技界のエースであり、大学ではあの箱根路を、
四年間走ったという伝説のヒーロー、しかもイケメン。
その兄がよりによって、限りなく丸いオバサンに惚れて、
どこへ行くにも一緒、しかもお手々つないで、なのだ。
僕が
「いいじゃないか、仲が良いのは。
 美人にブ男、二枚目にブス、ってよくあるじゃないの。
 あんたが、犬が好きで、僕がネコが好きと同じさ。」

などと言っても聞く耳を持っていません。
なんと言っても、鬼は千匹もいるから、一匹、二匹引き下がっても、
次々と新手が出てくるのである。
いやはや、なんとも、この暑い季節に大変なことであります。

そんことをいったら、山猫軒と彼女の釣り合いはいかがかな?
親子ほどもの年の差、こちらはヨボヨボのジジイで、
あちらは最近少し丸みをおびてきたとはいえ、まだ、
見苦しいことはないし、彼女が主張する35歳に見えなくはない。
(ただし、光線の具合など条件が付く)
等と言っても、馬耳東風、マオの耳に念仏、釈迦に説法、
暖簾に腕押し、柳に風、ぬかに釘
、・・・・・・


「蓼食う虫も好き好き」
人それぞれに好みがあるのです。
そう説いても、頑として兄嫁と兄貴を責める小姑である。

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[ 2010/08/06 12:18 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

ふふふっ!

イケメンおとこと
限りなく丸いおんな・・・

他人にはうかがい知れない
いいところがどっさり
感じられるのでしょう。
微笑ましいですねっ。
[ 2010/08/06 15:05 ] [ 編集 ]

聞き役......

ですな(笑)
陰陽師山猫軒さまの呪法、鬼封じ(苦笑)
[ 2010/08/06 20:15 ] [ 編集 ]

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