しばたはつみさんに 花の花を

三月は仕事で忙しかった。
それでも、二、三年前と比べると三割減だろうか。
四月に入っても続きそうな気配。

この2年近く異常なほどの落ち込みだったから、
少しずつ反動で揺り戻しがあるのかもしれない。

そんなとき、
訃報をTVで知った。
しばたはつみ 歌手であった。
ぼくはとりたてて彼女のフアンであったわけではない。
けれども、TVが伝えるには7年ほど前から歌手活動は停止していたと、いうのだ。
鬱病だったのだろうか。
浴槽で亡くなっていたという。痛ましいことだ。

ぼくは、歌手活動停止7年前に何故か心がひっかかった。

七年ほど前の夏の夜、僕は会社の同僚と有楽町駅前の交通会館ビルで工事を監督していた。
思いの外順調に進んで、8時過ぎに現場を出た。
外は暑く作業着の背中が汗で濡れて気持ちが悪い。

一杯飲もうと言うことになって、隣の西銀座デパートに入った。
同僚のMさんが「ジャズを聴こう」というので、
<スイング>という店に入った。
汗まみれの作業着すがた気が引けたが、断られもせず無事入店。

その日はライブで、
<しばたはつみ>さんが歌っていた。
小さな身体からは想像できないダイナミックな歌だった。

歌いながら客席を巡り歩いて、ぼくたちの席にきた。
作業着姿のおじさん二人に、目を丸くして、
「お仕事の帰りですか?ご苦労様です。
わざわざ、いらっしてくれて、ありがとうございます。」
と声をかけてくれた。
オジサン二人は照れ笑いを返すばかり。

そのあと、まもなく彼女は舞台から消えたのだろう。

あの、夏の夜の<しばたはつみ>の歌う姿を今ありありと、
思い出すことができる。

ご冥福を祈るのみ。


花の花<日本香堂>を、しばたはつみさんに


香をたく
たちのぼる煙は 一瞬 真っ直ぐに
そして たじろぐように
形をみだし
花になる

ぼくの記憶に咲く花よ
真夏の夜の歌声よ
労働の汗のなかで聴いた
ワークソングよ
沈みかけた船の上で歌っていた花よ

今宵 ぼくは 香をたこう
火のような酒で悲しみを焼きながら
たった、一度だけ聴いた歌のために
櫂を失った船上の歌姫に
今宵 ぼくは 香をたく

それから、
あなたの歌に耳を澄ますのだ
たちのぼる 白い煙に包まれて

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[ 2010/04/01 16:25 ] 未分類 | TB(0) | CM(2)

No title

こんばんは
人生は色々の事がありますね。
私は、一日一日を大事に生きて行こうと思います。
介護の仕事をしているからよけいにそう思うようになったのかも知れないです。
素敵、詩ですね。
[ 2010/04/01 19:25 ] [ 編集 ]

Re: No title

こんばんは。
仕事の合間を縫って詩を書いています。
忙しいときほど書けるのは何故でしょう?
時間が一杯あるときはつまらないことに時を消費しています。
あとで気づくのですが・・

残りの時間が少なくなってくると、
日々がいとおしく大事に感じますね。
ぼくたちの年齢だからこそ、なのでしょうね。

介護、素晴らしい仕事です。
ぼくにはできないけれど。
昔、市民運動をしていたとき、筋ジストロフィーの人と一緒だったことがあります。
車いすの彼の希望で健康ランドのお風呂に連れて行きました。
あれほど大変だと感じたことはありません。
当然僕一人ではなく友人と二人だったのですが、
疲れ果てましたよ。

介護はほんとうに尊敬に値しますね。



> こんばんは
> 人生は色々の事がありますね。
> 私は、一日一日を大事に生きて行こうと思います。
> 介護の仕事をしているからよけいにそう思うようになったのかも知れないです。
> 素敵、詩ですね。
[ 2010/04/01 19:46 ] [ 編集 ]

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