柿の葉寿司、邂逅そして出会い

邂逅そして出会い


入谷<侘助>昨夜のことである。
夕刻6時半頃上野駅から地下鉄日比谷線で入谷に向かう。
空はまだ、明るい。
入谷金美館通りに折れて、<侘助>へ。
すでに、常連客がテレビの下の吹きだまり席に四人いる。
奥の席に一組、カウンターに6人ばかり。
山猫軒は吹きだまりの隣のテーブルに場所を定めた。
ママのスミちゃんが隣に座る。

旦那のテルちゃんが昨日手術したという話をひとしきり聞く。
以前、患った甲状腺癌が大腸に飛び火したらしい。
前の手術のあとにも懸念されるものがあるとのこと。
まことに、心配、気になるところである。
案外に病を多く得るものは長生きするのではないか、
というのがぼくの持論。
母も全身癌だらけでため息が出るような人生を送ったが、
86歳まで生きた。
我が妹も癌のほか三度も大手術をしている。
これも、結構思ったよりも長生きしそうな気がするのだが。

僕のように一度として入院、手術など経験したことのないものが、
コロッとあの世に旅立つことになるのであろう。

いずれにしても<侘助>のオヤジと再び酒を飲みながら、
詩談義を出来る日がまたくることを願うものである。

写真は常連客のYさんが大阪出張のお土産にと持ってきた、
「柿の葉寿司」
美味しかった。
Yさんは東証2分上場企業の社長である。
この、Yさんとは山猫軒少なからぬ因縁めいた話があるので、
今日はそれを述べてみたい。

<侘助>はぼくの大学のクラブ(文芸部)の後輩がやっている店である。
女房のスミちゃんも同じ大学の後輩で、
文芸部のOB会をこの店で開いた事がきっかけで、
ぼくの住まいからも近いこともあって、
ここ一年ほど前から足繁く通っている。
ここの常連客は自然と一つのテーブル席で飲み食いすることになるのだが、
その席が<吹きだまり>の席というらしい。
そこへ招じ入れられれば<侘助>公認の客ということである。
この店に行き始めてまもなく、店主の覚えめでたい山猫軒(人柄の良さであろう)
は<吹きだまりの席>の一員となった。
その席でYさんと会うことになる。
しばらく前から、Yさんの姿を見かけていたが、
なんとなく、何処かであったような気がして、想い出せないでいた。
相手も僕を見て、同じような感じを持っていたらしい。
<吹きだまりの席>でそれとなく話を初め、
出身は何処かということになり、僕は木更津だというと、
Yさんは自分も若い頃木更津に縁があった。というのである。
それで、どこに勤めていたのかを尋ねたところ、
すると、「S製鉄」というではないか。
「じゃあ、飲みに行っていた店はどこですか?}
と再度聞く。
「ひらけごま というスナックと、トンカツ屋の とん吉」
<ひらけごま>は山猫軒の不肖の妹たちがやっていた店である。
とん吉も親しい。
僕はその頃、同じく木更津で会員制のクラブをやっていた。
新日鐵のお偉方がお客さんであり、
Yさんが足を踏み入れるのにはちょっと、勇気がいるところではあった。
しかし、僕もいつも柔和で物静かな若者の事は気に入っていたから、
名前も顔も忘れようもない。
だから、お互いハタと膝を叩き、
やっぱり、そうか、あの新入社員のYさんか。
<ひらけごま>のおにいさんの山猫軒か。
となる。
三十数年を経て、想像もしない東京下町の小さな酒場での再会であった。

聞けばS製鉄幹部社員の立場にあったYさん、
化学会社を経営していた父親が亡くなって、
会社を辞め父親の後を継ぎ社長になったとのこと。
会社が根岸(入谷の近く)にあって、<侘助>は会社を挙げてのご贔屓らしい。

邂逅があれば、また、新しい出会いもある。
昨夜のぼくの同じテーブルには初めての客が座った。
一昨日一人で訪れたと言う旅の人である。
スミちゃんの説明では出張で近くのホテルに泊まっていて、
そこから紹介されてきた人だという。
なんでも、スミちゃんの故郷の隣町に住んでいるらしい。
福岡県である。
Eさんと言った。六十歳を僅かに過ぎた頃かな。
仕事で関東近県に来たのだが、最近TVで東京下町、入谷が紹介されていて、
それが印象的だったので、わざわざ、入谷のホテルに泊まったという。
しかし、彼の期待していた下町風情などどこにもない。
唯一、<侘助>での二晩の酒が落胆する気持ちを救ってくれたと、
ニコニコして帰って行った。
今度九州に行くときは、Eさんと酒を呑もう。
長生きしていれば、良い出会い、そして嬉しい邂逅がある。






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[ 2010/06/12 13:43 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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