夏の夜のプラットホーム

    夏の夜のプラットホーム



    夜のプラットホームで
    ぼくは手をふっていた
    暖かい風を切り裂いて
    汽車は黒い夜の中に
    何処かへと走り去る

    夏の夜のプラットホームで
    きみは手をふっていた
    汽車は北の町から
    南へと走り去る

    あの夏の夜汽車に
    きみも、ぼくも
    乗らなかったから
    それで
    無人の汽車は 途方にくれて
    走り続け
    ときおり、
    その季節になると
    姿をあらわす

    たしかに、あの夜
    ぼくは汽車の窓から
    プラットホームのきみに
    手をふっていた
    きみの手も白い花びらのように
    はらはらと 揺れていた

    いや、ちがう、ちがう、
    あの夏の夜
    ぼくたちは 約束を交わしたはずだ
    この汽車に乗って
    遠い街に行こうと
    暗い夜よりも深く黒い
    大きなきみの瞳が
    うなずいていた

    もうすぐ、やってくる夏
    もうすぐに、また、
    聞こえてくる汽笛と
    線路のきしむ音

    二人で乗った汽車から
    どうして、
    どこで、降りてしまったのか
    もう 思い出すこともできないほどに
    日は暮れてしまった
    ただ、暗い夏のプラットホームばかりが
    ここに 見えるだけだ





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[ 2010/06/06 19:22 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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