あさって




     あさって



   微かな傷の裏で
   赤い花が蕾をつける
   黒い雲の下を低く流れてくる声が
   鋭い爪を立て
   私の想いを揺さぶる

   水の上を走るタイヤの音に
   狭い水槽の底で
   聞き耳を立てながら
   あさって、きっと、
   私は元気だろう

   古いメトロの階段を
   あしたは 夥しい夢を生む母が
   刻がわきたつ部屋にやって来る
   そして、北辺の海のように
   冷たい水槽の中に蹲る
   私を掬い上げる

   消えた傷の上に
   赤い花が咲いている
   始まったばかりの夜
   なめらかな欲望は
   生まれ来る子供とともに
   広がっていく

   あさって、私たちは生きている
   古いメトロの階段を
   始まったばかりの
   朝に乗るために
   手を取り合いながら
   赤い花を抱えて降りてゆく
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[ 2013/06/30 00:35 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)