瞳は秋を見る



         瞳は秋を見る



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      宙の一点を凝視する瞳の
      澄みきった水晶体に
      わたしの濁った視線は
      うなだれる


      おまえの目のうしろには海がある
      おそらく むかし膝を抱えて
      日がな一日過ごした
      果てしなく続く砂浜だろう
      その海も今日は秋の海鳴りを
      響かせて
      黄昏の空に溶け入ろうとしている


      お前の目のうしろには黒々と黙する森がある
      おそらく むかし蝉時雨を聞いた
      深い木立の中の小径だろう
      その森も今日は秋の風が渡り
      梢からは はらはらと
      乾いた木の葉が散っている


      お前の目のうしろには音楽がある
      透明な目にだけ響く音楽が
      銀の門の向こうから流れてくる
      季節を越えて
      時間を超えて
      水のようにおまえの目に注がれる


      わたしの濁った目には届かない
      海と 森と 音楽が
      秋の吐息の向こう側にある
      おまえの透きとおった目の中にある



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[ 2011/09/30 18:20 ] 未分類 | TB(0) | CM(4)