四月の空から

     

     四月の空から




    歩く頭上から緑色の血が滴り降りる
    花びらをなくした梢のそここから
    吹き出すように
    開いてゆく木の葉の滴
    陽光は金色にまぶたを染めて
    きらきら
    こぼれる

    水底に亡骸を沈めたひとたちを
    ぼくは悼む
    廃墟に子供と親の姿を探すひとたちに
    ぼくはなんと言おう

    置き去りされた
    猫や犬が主人を捜している
    人の影と声を無くした街路で
    いつしか
    それも消える

    ぼくは そして
    あなたは 
    4月終りの朝に目覚める
    開け放つ窓の外には
    いつもの空があり
    悪意は見えない
    ぼくの猫は大きく伸びをして
    優雅に尾っぽをたてて
    歩き回り
    ゼンマイ仕掛けの柱時計が
    いつもと同じ時を知らせる

    どんな生き物にもやってくるのだ
    始まりがあって
    終りがくることを
    心に侵入してくる液体が
    空気のように教えてくれる

    逝ってしまった人たちと動物たち
    残された人たちと動物たち
    それらの苦しみと悲しみが
    歩くぼくに降りかかる
    木漏れ日のように
    4月のつらい季節の空から






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[ 2011/04/30 20:14 ] 未分類 | TB(0) | CM(3)